『留学に行きたい!でも帰国後の受験が不安だ』という人は少なくないと思います。特に、高校によってはその理由であなたの留学に反対しようとする学校もあるかと思います。実際に、この記事を書いているOBである私は、学校からの反対を押し切って高2で留学、帰国後に高3に進級して現役で慶應に進学しました。参考にして下さい。
一年の留学≠一年の勉強の遅れ
仮に一年間留学して半年後に受験となった場合、半年で一年半分の受験勉強をしなければいけないのでしょうか。そうではありません。
まず、いうまでもなく英語でとても有利になります。リスニングはセンター試験であれば殆ど満点を取れるレベルになることはもちろん、リーディングも非常に有利になります。リーディングの成長は人によりまちまちですが、出発前にELTiS等の勉強を入念にしていた人であれば早慶上智レベルの文系学部の長文程度であれば余裕をもって読みこなせるという人が多いです。英語はどんな大学でも重要な科目なので、学校の。
数学や理科は、レベルの選択次第。
理系のフィールドに行きたいという人をはじめ、国公立の受験を視野に入れている場合は数学や理科で遅れをとることへの不安があるでしょう。(私立文系であれば、これらの科目は不要であることが多いです。)
アメリカの数学は簡単と聞く、という人も多いと思います。これは必ずしも事実ではありません。アメリカの高校では多くの場合幅広いレベルの授業が設定されており、学年にかかわらず自分に合ったレベルの授業を受けることができる、合理的な仕組みになっています。苦手な科目は下の学年向けの授業、得意であれば上の学年向けの授業を受けるというのがごく一般的です。よって、数学をしっかりやっていきたいならば上の学年向けのクラスやHonorsという優等生向けの授業を受けることができます。
例
科目 | 対象 |
Algebra 1 | 1年生向けの代数 |
Algebra 2 | 2年生向けの代数 |
Geometry 1 | 1年生向けの図形 |
Honors Algebra 1 | 1年生向けの代数、授業の進行が速い |
Honors Algebra 2 | 2年生向けの代数、授業の進行が速い |
国語や社会でも、論理的思考が養われる。
当然、日本の国語をアメリカで勉強する機会はまずありません。しかし、アメリカの学校での勉強は国語、特に現代文に役立つと私は考えています。アメリカの教育では様々な場面でクリティカル・シンキングや論理的な思考が求められ、これは現代文で複雑な文章を理解することに間接的に役立ちます。
また、日本の国語にあたる授業の一つとして、American Literature(アメリカ文学)などの授業がありますが、この授業でアメリカ独立などの歴史的なテーマを扱うことがあります。これは世界史のバックグラウンドに当てたものですから、帰国後に世界史を勉強する場合多少なり役立ってくるでしょう。
もちろん、その世界史にあたるWorld Historyの授業も現地にはあります。留学生はAmerican History(アメリカ史)の授業を受けることが多いですが、これも世界史の一部です。年号の暗記などもアメリカでもありますから、やはり世界史には直結してくると言えます。
時間が限られるということは、メリハリをつけるということ
交換留学では、一年という限られた時間をいかに有意義に過ごすか、という部分に常に意識が向きます。これは帰国後の受験勉強も同じです。帰国後にしっかり気持ちを入れ替え、半年または一年半をやり切るというのは、二年から徐々に受験ムードになっていくという一般的な進学校のパターンよりもむしろ効率的であることが多いです。
現に、帰国生の多くは東大や一橋などのトップ国公立をはじめ、早慶上智などの有名大学に多く進学しています。受験はゴールではありませんが、十分に留学の延長線上にあるものだと思います。
AOや推薦というもう一つの選択肢
受験勉強だけが進路を決める要素ではありません。留学先でのスポーツ等での活躍が評価されることもあります。留学先での経験を生かして有利に進めることはできます。ただ、留学さえしていればAOに受かるというようなものでもないので、これを当てにすることはないようにしましょう。