皆さん、はじめまして。アユサ2011年度派遣生の小川と申します。
派遣先はワシントン州のヤキマという人口5万人くらいの中規模な町で、キリスト教系の私立高校に通っていました。
帰国後は早稲田大学国際教養学部を経て、現在は東京大学大学院で西洋史の研究をしています。
大学院では西洋史、古代ローマ史を研究。他に法律やプログラミングの勉強をちょくちょくしています。
職業(?)柄といってよいかはわかりませんが、国際学会・研究会への参加や報告、論文執筆などのために、いまも英語は4技能すべてにおいてフル活用していて、改めて高校時代の留学経験は有益だったと日々実感しています。
そんな私が、これから留学する皆さんに何をお話するのがいいだろうかと考えたとき、いまにも繋がるアカデミックな英語コミュニケーションの原点ということもあり、現地での授業体験について伝えたいと思いました。
皆さんも、留学先での授業には少なからず不安を抱いていることと思いますし、さらに将来の話をすれば、留学を経験した皆さんは大学や社会で、アカデミックな英語コミュニケーション能力を活かして活躍するようになるはずです。そんな皆さんのために、私がここでお話することが少しでもお役に立てば幸いです。
英語の授業(日本でいう国語)
さて、ここからは、私が留学先で受講した授業の中からいくつかを選んで、感じたこと、悩んだこと、気づいたことを書いてみたいと思います。
まず始めに、おそらく必修になるであろう(私の時はそうでした)「英語」の授業から振り返ります。というのも、正直これが一番きつかったため、印象に残っているからです。
とにかく日本の学校と比べて読む量が多い、そして書く量も多い。皆さんは、ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』という小説を知っていますか?
ざっくり言えば、無人島に置き去りにされた少年たちの闘争模様を描いた小説ですが、これを読んだうえで、その内容をまとめた冊子を作るという課題が出たりしました。
それまで、英語の小説を通読したこともなかったですし、まして冊子になるような分量の英語を書いたこともありませんでした。にもかかわらず、そんな課題を2週間ほどでやらなければならなかったのです。
他にも毎週、授業の中で単語テストがありました。当然、英語を母国語とする生徒たちを対象とするテストですから、普段使わない難しい単語ばかりです。
このように非常にきつい授業だったのですが、どうやって乗り越えたのかというと、とにかく「がむしゃらに頑張る」しかありません!
がむしゃらに頑張る
そもそも、現地の生徒が受ける英語の授業なんて、留学生にとってはきついに決まっています。なので、根性論的な話になってしまいますが、気合で頑張ることも必要です。
もちろん、すべての授業がそうではないので安心してください。これから書くように、事前の準備や工夫次第で十分についていける授業もあります。
ただ、いずれにしても「がむしゃらに頑張る」ことは必要でしたし、皆さんにも必要になるでしょう。そして、頑張るときには、周りの人と仲良くなっておくと良いと思います。
私の場合は、一緒に授業を受ける友人がいたのはもちろん、なぜか先生の部屋にピアノがあり、そのピアノをよく弾きにいっていたために先生とも親しくしていました。
なので、授業の内容はきつかったのですが、授業そのものが苦痛になることはなく、むしろ楽しく受けることができたと感じています。
アメリカ史の授業
次に、アメリカ史と聖書の授業についてです。アメリカ史については、これも必修になっているかと思いますが、やはり読書量は多めでした。
毎回、教科書の結構な分量を予習していく必要があったのです。ただ、こちらに関して言えば、私はあまり大変だとは感じませんでした。
なぜかと言えば、もともと世界史が好きで、アメリカ史もある程度頭に入っていたため、英語も比較的すらすら読めたからです。こうした経験を踏まえて言えば、授業についていくためには、英語力を高める努力をすることはもちろんですが、英語以外にも、日本でできる準備をしっかりしていくことが重要だと思います。
アメリカ史のような授業に関して言えば、予め知識があれば、英語力で他の生徒に劣る部分をかなりカバーできます。他に問題となるのは、授業中にとにかく発言・質問を求められることです。
私の場合は、授業の前に、いくつかの質問を事前に作って、書いていった記憶があります。何も考えずに、授業の場でいきなり質問を考えようとしても、最初はうまくいかないと思ったからです。
もちろん、最終的には授業の場で自由に議論できるようになるのがベストですが、まずは簡単な質問など、事前にやることを準備していって、それを実行できれば十分です。とにかく、何も発言しない、という事態を避けることが重要です。
聖書の授業
一方で聖書の授業は、私が通っていた高校の特色の一つでもあって(公立校では宗教教育はできません)、グループワークやグループディスカッションが非常に多かった記憶があります。
ここで感じたのは、ディスカッションが難しい云々ではなく、文化的なギャップです。現地の生徒の多くはキリスト教文化の下で育ってきていますから、聖書の内容や神の存在を前提に話をすることは、いわば当然のことだったと思います。
ただ、私はそれまで神などを信じたことはありませんでしたし、聖書の内容を真剣に考えたこともなかったので、戸惑いました。
そのためまずは、ホストファミリーが買ってくれた日英対訳の聖書を読むことから始めましたが、それで他の生徒と対等にディスカッションが出来るようになる訳ではもちろんありません。
なので私は、ディスカッションの中ではむしろ素人の視点から、キリスト教と関りを持たない立場から、初歩的な知識や前提についての質問をするようにしていました。
先生や他の生徒はこうした質問にも大抵は真剣に答えてくれますし、グループディスカッションでも、意外な点で議論が盛り上がったりすることもあったのです。
これから高校留学をする方へ
さて、ここまで3つの授業を振り返って、自分の経験を書いてきました。
授業への不安に関して言えば、留学を決意した誰もが持つものでしょうが、実際に行ってしまえばなんとかなる面も大いにあります。
ただ、どこかで「がむしゃらに頑張る」瞬間が訪れるのは間違いないので、その時は周りの人の助けも借りつつ、乗り越えるしかありません。
ただ、英語力ゆえの不安は、事前の準備や工夫次第である程度カバーできますし、授業中の発言に関しても、まずは事前に準備した質問やコメントをそのまま発言する、高度なディスカッションはできなくても、基本的な知識や前提について質問するといったところから始められれば十分です。
英語はもちろん、その他のことについてもきちんと準備をしておけば、過度に不安に思う必要はありません。せっかくの留学、授業も楽しむ気持ちを持って、頑張ってください!
アユサ高校交換留学
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